留年

 

 

僕が留年をするのじゃないかと焦り始めたのは高二の秋頃からだった。

 

進級するために必要な条件は2つ。

 

出席日数と定期テスト

僕の高校ではどれか1教科でも単位を落とすと留年になる。

つまり各教科で出席日数と定期テストの得点の条件を満たさないといけない。

 

まずは出席日数の話

 

当時僕のクラスには僕よりも学校をサボっていた友達のSくんがいた。

 

そのSくんとは最寄り駅が隣で、中学生のときはよく一緒に帰りの電車でスマブラをした。

 

でもこのままだと本当に留年をすると思い、

帰り道の電車で誓い合った。

 

「一緒に高三になろう。」

 

ただいつも授業をサボっていた僕たちがいきなり授業を全部出席するなんて不可能に近かった。

 

 

 

そこで救世主があらわれる。

 

 

 

本格スマホカードバトルShadowverseだ。

 

僕は彼にシャドバを勧めた。

僕たちは毎日シャドバをすることを

楽しみに学校に通った。

 

当時席が後ろの方でしかも彼と隣だったので

2人で対戦をしながら、なんとか長い授業を

乗り切った。

 

ただ僕は化学の実験の授業を全サボりしていて、このままだと上田くん留年になると化学の先生が職員室で話しているのを偶然聞いた部活のマネージャーが慌てて僕にラインをしてきてくれた。

それを聞いて慌てて次の実験の授業からは出席した。

先輩の進級までマネージメントできる素晴らしいマネージャーだ(笑)

 

出席日数はなんとかこれでクリア。

 

そして定期テスト 

僕が単位を落としそうになっていたのは

世界史、生物、保健、家庭科だった。

 

特に生物は酷かった。

定期テストの点数が7点、14点、54点、42点の状態で最後の学年末テストをむかえた。

 

まずいとは思った。

 

そして三学期学年末テスト当日。

なんと僕は寝坊した。

1時間目は生物

まずい、本当にまずい。

 

到着したときには残り15分

ほとんど空欄で出した。

終わったと思った。

 

テスト返却日

生物はなんと7点。

それ以外の科目はなんとか耐えた。

三学期は毎日留年するのじゃないかという恐怖に怯えながら過ごしていた。

 

そして高二の終業式。

先生に預けていた生徒証が返却され、

ハンコが押されているのを確認し、

僕の進級は決まった。

 

しかし終業式にSくんは欠席していた。

まさかと思った。

提出物や成績表などが返却され慌ただしくなる教室。

僕はずっとSくんのことが気になっていた。

そして全ての返却物が終了し、先生が突然Sくんの名前を口にした。

 

「Sくんは進級できない。」

 

僕は何が起きたのか分からなかった。

ただただ教室で呆然としたのを覚えている。

 

その後彼から聞いた話によると、どうやら日本史の点数が足りていなかったようだった。

 

彼はその後通信制の高校に通い僕たちと同じタイミングで高卒の認定をしっかりとっていた。

高三になってからも変わらず夜中までグループ通話をしながらシャドバをした。

そして高三の遠足はグループごとに京都で自由行動だったので僕は彼を呼んで、高校生活最後の遠足を一緒に楽しんだ。

 

高三では高二の反省を活かして、卒業できる程度の点数を一学期からとりつつ、出席日数もしっかり計算していたので難なく卒業できた。

 

めでたしめでたし。